上陸申請の実務

上陸申請にあたって

日本に入国する外国人は、その入国・在留目的が出入国管理法(出入国管理及び難民認定法)に定めるいずれかの在留資格に該当していなければ、入国が認められません。在留資格認定証明書とは、査証(ビザ)の申請に先立ち、その入国・在留目的が入管法に定めるいずれかの在留資格に該当していることを法務大臣が証明する文書です。当事務所では申請取次行政書士が入管での手続きを取次申請しますので、申請人の方の入管への出頭が原則免除されます。


査証(ビザ)と在留資格認定証明書について

本邦の出入国管理制度において、査証(ビザ)と在留資格はそれぞれ異なる意味合いを持っております。査証(ビザ)とは、日本の外務省がその外国人が日本に入国して差し支えないとする推薦状の性格を持っており、入国後はその効力を失います。

 

査証(ビザ)は、海外にある領事館等の在外公館、すなわち外務省の管轄に対し申請し、在外公館から外務省へ、外務省から法務省出入国在留管理疔に取り次がれ、さらに地方出入国在留管理局が行う事実調査の結果を踏まえ外務省に回答されます。審査において確認事項や追加書類の提出があった場合、この逆のルートをたどることになるので、査証(ビザ)の発給には長い日数がかかることになります。(68の査証免除国・地域除く)


このため、前述の日数を要する手続きを解消するために、入国後の在留資格について法務大臣が事前に審査したことを証明し、在留資格認定証明書により査証(ビザ)発給の審査を簡略化することができるという制度です。


上陸審査と在留資格認定証明書交付申請について

外国人が日本に上陸する際、空港等で入国審査官による上陸審査を受けることとなります。この上陸審査には、【上陸許可基準】が設けられており、申請人(入国する当該外国人本人)が以下の基準に適合していることを立証しなければなりません。

  1. 旅券や査証(ビザ)が有効であること
  2. 日本で行おうとする活動が虚偽のものでなく、かつ在留資格に該当すること。
  3. 在留資格により上陸許可基準がある場合にはこの基準を満たしていること
  4. 在留期間が法務省令の規定に適合していること
  5. 上陸拒否事由に該当していないこと

在留資格認定証明書は、上記2と3についてあらかじめ法務大臣の審査を受けていると証明することができます。


上陸申請で提出する在留資格認定証明書の留意事項

  1. 在留資格認定証明書の交付を受けたとき、記載事項を必ず確認。(氏名・生年月日が申請人側の誤記である場合には、再申請することになります。)
  2. 在留資格認定証明書の交付から来日までの間に、事情の変更があった場合には、在留資格認定証明書を発給した地方出入国在留管理局へ相談が必要。

上陸拒否事由とは?(入管法第5条 抜粋)

  1. 日本国、外国を問わず、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれに相当する刑に処せられたことがある者
  2. 日本で過去に強制送還(退去強制)された者 10年又は5年の上陸拒否
  3. 出国命令により出国した者 出国した日から1年 等 

在留資格「特定技能」申請上の留意事項について

◆来日経験の有無の確認

本国での犯罪の有無、日本在留歴がある方には、退去強制又は出国命令で本国に帰国した事実の有無を確認することが重要です。特に、来日歴があれば、その在留資格(技能実習、留学、日本人又は在日外国人との結婚等で在留していた在留歴)、回数、目的の確認、帰国した理由の確認が必要です。

◆すべての経歴の確認

  1. 氏名(パスポート英文表記変更含)、生年月日、性別の変更、学歴・職歴の確認(経歴の確認は必須
  2. 家族構成(配偶者、子の有無、在日親族等)の確認
  3. 犯罪歴等の有無の確認

上陸申請と審査について

1 上陸申請

  • 旅券(パスポート)
  • 在留資格認定証明書
  • 個人識別情報の提供(顔写真、指紋(両手ひとさし指)の読取)(免除対象者除く)

2 審査内容

  1. 所持する旅券、及び査証を必要とする場合には査証の有効性
  2. 在留資格(特定技能)該当性、上陸基準適合性、真実性
  3. 在留期間
  4. 上陸拒否理由の非該当性

上記の上陸審査に適合していると認定されたときに、上陸を許可されることになります。

(上陸許可により中長期在留者に該当する者に対しては、在留カード交付)


入国後の在留外国人の義務について

  1. 在留カードの所持
  2. 新規上陸後(在留資格「特定技能」での上陸許可の来日)の住居地の届出(2週間以内)
  3. 在留資格変更等に伴う住居地の届出(新たに中長期在留者となった場合)
  4. 在留カードの住居地以外の記載事項変更届出
  5. 紛失、汚損等による在留カードの再交付
  6. 就労系在留資格、留学の在留資格を有する者の所属又は契約機関に関する事項の届出
  7. 家族滞在、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の在留資格を有する外国人が、配偶者である日本人、永住者と離婚又は死別の場合の届出